法人が事業用の固定資産を購入した場合

はじめに

法人が事業用の固定資産を購入するとき、「10万円未満であれば経費になる」とご存じの方も多いかと思います。

そして事業用の10万円以上の固定資産は、一度に費用として計上するのではなく減価償却によって毎期費用化するのが原則です。

しかし、例外的にもっと短期間で償却できる方法があります。それが一括償却資産と少額減価償却資産という処理方法です。

ここでは、一括償却資産の意味や要件、少額減価償却資産との違い、さらに償却資産税などについて、分かりやすくご紹介します。

 

一覧表にしました

比較してみるとわかりやすいので、下記のような一覧表にしてみました。

固定資産 一括償却資産 少額減価償却資産
税務処理 減価償却という形で少しずつ費用にしていく。10万円未満は全額費用にできる。 20万円未満の固定資産は、3年間で均等に減価償却する。 30万円未満の固定資産は全額費用にできる。
対象 すべての事業者 すべての事業者 常時使用する従業員数が1,000人以下の中小企業者等
限度額 なし なし 年間300万円を限度
※償却資産税 課税(資産計上) 非課税 課税

※償却資産税とは、固定資産税の一種です。固定資産税は土地や家屋だけではなく、機械や備品など、

いわゆる償却資産(建物附属設備の一部、自動車等を除く)にも課されます。

1月1日に所有している償却資産について、その年の1月31日までに『償却資産申告書』を市区町村に提出します。

税率は1.4%の市区町村がほとんどで、同一市区町村内で所有する償却資産の課税標準額の合計額が150万円未満の場合は、課税されません。

 

金額による判定

 

★10万円未満 …税金をおさえるなら費用処理です。利益を出したい場合は、「一括償却資産」か固定資産としても構いませんが、

固定資産台帳管理の手間と、税金計算上の費用を数年先延ばしにすることになります。

また固定資産に計上した場合には、償却資産税が課税されることがあります。

 

★10万円以上20万円未満 …税金をおさえるなら、中小事業者なら「少額減価償却資産」、中小事業者以外は「一括償却資産」です。

利益を出すなら固定資産処理です。中小事業者の場合、「一括償却資産」か「少額減価償却資産」か悩むところですが、

償却資産税の金額も含めて総合的に判断するべきです

 

★20万円以上30万円未満 …税金をおさえるなら、「少額減価償却資産」です。利益を出すなら固定資産処理です。

 

★30万円以上 …固定資産として処理します。

 

最後に

このように、どのような会計処理をすることがいいのか一概には言えません。

出来るだけ前倒しで費用にしたいのは、経営者の多くがお考えかと思いますが、

償却資産税のことを考えると、判断に悩んでしまいます。

事業用の固定資産を購入する際には、償却資産税をはじめ、経営成績や将来予測など総合的に勘案して、慎重に処理すべきだと考えます。

 

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